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レゾナック・ホールディングスが生成AI全社展開でこう変わった — 月約9万時間・約4.7億円相当の業務削減を約半年で達成

この記事の監修者 株式会社デジタルゴリラ

導入企業概要

株式会社レゾナック・ホールディングスは、1939年創業の東証プライム上場の総合化学・材料メーカー。半導体・電子材料、機能性化学品、炭素製品など幅広い製品を手がけ、製造・研究開発・間接部門にわたる多数の従業員を擁する。本社は東京都港区。2026年7月15日に生成AI全社展開の成果を公表した。

導入の背景と課題

製造・研究開発・間接部門という3つの性格の異なる業務群を抱える同社にとって、生産性向上は経営の核心課題だった。2025年10月に生成AI導入を本格開始するにあたり、同社が最も警戒したのは「ツールを配っただけで現場に使われない」という失敗パターンだ。本社が一方的にAIを押しつけても、現場の業務実態を知らない設計では定着しない。そこで同社は、従来のトップダウン型一括展開とは異なる独自モデルを設計した。

現場起点の3段階サイクルという設計思想

同社が構築したモデルの核心は、本社主導と現場自律の両輪を回し続けるサイクルにある。①本社が生成AI環境を全社に提供し、②各現場がその環境を使ってAIエージェントを自ら創出し、③本社がそれを標準化・全社展開する——この3段階を繰り返すことで、改善が止まらない構造を作った。

このアプローチが重要なのは「誰がAIエージェントを作るか」にある。IT部門や本社の専門チームが作るのではなく、現場の業務担当者自身が自分の課題を定義してAIエージェントを作る。現場の生の業務知識がAIの中に入るため、ツールが実際の業務にフィットする。本社はその標準化と横展開を担い、全社の知識として蓄積していく。

「本社による生成AIの提供、現場でのAIエージェント創出、本社による標準化と全社展開というサイクルを継続的に回すことで、従来のトップダウン型と現場の実務に即したボトムアップ型のアプローチを融合した独自の生成AI活用モデルを構築しています。」

(出典:株式会社レゾナック・ホールディングス プレスリリース 2026年7月15日)

本社部門では会議調整・文章資料作成・コミュニケーション・学習分析の4領域でAIエージェントを展開。製造現場では危険予知(KY)活動の採点・フィードバックを自動化し、化学品法規制分野では教材作成・テスト実施・集計の全工程を自動化した。設備導入・在庫管理・研究開発支援にまで活用が広がっている。

成果(数字)

  • 生成AI活用率: 導入約半年で95%に到達(対象者2,405名のアンケートおよび業務実績をもとに算出)
  • 月間業務削減時間: 月約9万時間削減
  • 月間コスト換算削減額: 約4.7億円相当
  • 危険予知(KY)活動: 作業プロセス時間を約60分の1に短縮
  • 化学品法規制の教材作成: 従来の約5分の1の時間で実現

中小企業が学べるポイント

「AI担当者を置く」のではなく「業務担当者がAIを作る」設計へ。

レゾナックの成果数字(KY活動60分の1・教材5分の1)の裏にあるのは、現場担当者が自らAIエージェントを作ったという事実だ。安全担当が危険予知のAIを作り、教育担当が教材作成のAIを作る。自分の業務を誰より理解している人間が設計するから、ツールが業務にフィットする。

この構造は企業規模を問わない。製造業・建設業・物流業では、安全日誌や作業チェックリストをAIに読み込ませてフィードバックを自動生成させる取り組みから始められる。人材・研修を扱う会社であれば、社内マニュアルや手順書の更新・テスト作成のAI自動化が最初の一手になる。

「一点突破→横展開」の順序を守れ。

間接部門(総務・経理・人事)の会議調整や文章作成は、業種に関係なく即着手できる領域だ。1つの部門で「これは使える」という型を作り、社内で共有することで横展開の起点になる。レゾナックが行ったのも、各現場が作った成功パターンを本社が標準化して全社へ広げるというサイクルだ。「全社一斉展開」を目指すのではなく、「一現場の成功を全社化する」という順序が、6ヶ月で活用率95%を実現した要因である。


出典: 株式会社レゾナック・ホールディングス「現場発のAIエージェントを標準化・全社展開する独自モデルを構築」(2026年7月15日)

株式会社デジタルゴリラ