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企業事例

自由診療クリニックがAI音声カルテで月最大36時間削減 — 患者の顔を見ながら診療できるように

この記事の監修者 株式会社デジタルゴリラ

導入企業概要

アトミックソフトウェア株式会社(東京都品川区・2020年設立)は、自由診療向けクラウド電子カルテ「medicalforce」を開発・提供するSaaS企業。同社によると自由診療向け電子カルテの導入数でNo.1を称する。美容外科・美容皮膚科・自由診療クリニック向けに特化したプラットフォームとして全国のクリニックで採用されている。

導入の背景と課題

自由診療クリニックでは、カルテ記録・カウンセリング内容の文書化・アフターフォローメッセージの作成など、診察外の事務作業が多く、スタッフの負担になりやすい。とくにカルテ入力は診療中も集中を要し、「患者の顔を見ながら話せない」という現場の声が多く聞かれてきた。アトミックソフトウェアはこうした課題に対し、AI機能群「medicalforce intelligence」を開発。2026年5月より「AI音声カルテ」の先行提供を開始した。

導入したAI / プロセス

「AI音声カルテ」は、診療・カウンセリング中の音声を自動で書き起こし、カルテ入力に必要な情報を整理して電子カルテへ反映するAI機能。複数人の声が混在する環境でも話者を識別し、主訴を正確に抜き出せる点が特徴とされる。電子カルテ内の操作で完結するため、新たなシステムの導入や操作習得の負荷がほぼかからない。

先行提供開始から2026年7月20日までの約7週間で、累計220時間超の診療・カウンセリング録音を記録。複数のクリニックが本機能を業務標準として採用し、活用を広げている。

「患者様と自分の話し声が重なっても、しっかり識別して主訴を抜き出してくれる点には驚き。患者様の顔を見て話せるようになった」

── 宮﨑邦夫 院長(リノクリニック東銀座)(出典:アトミックソフトウェア株式会社 プレスリリース 2026年8月3日)

成果(数字)

  • 月24〜36時間削減:積極的に活用しているクリニックにおける業務時間の削減幅。1件あたり6分 × 月240〜360件規模のクリニックでの実績に相当する
  • 診療1件あたり6分短縮:カルテ入力にかかる時間の削減
  • 累計録音220時間超:先行提供開始から約7週間での実績(2026年7月20日時点)

「診療の流れの中で無理なく使える。基本的にすべての患者様で利用しており、業務になくてはならない機能になっています」(La Vie clinic 平松恵梨 統括院長)という現場の声も報告されている。

中小企業が学べるポイント

この事例が示す最大の教訓は「新しいツールを増やすより、今使っているシステムにAI機能を統合する」という設計方針にある。

自由診療クリニックでAI音声カルテが定着した背景には、電子カルテ内の操作で完結するという構造がある。スタッフが新しいアプリを覚える必要がなく、既存の診療フローのまま使い始められたことが、短期間での業務定着につながっている。

AI導入で定着率が低いケースの多くは「別ツール化」が原因だ。日常業務から切り離された場所にAIを置くと、使い方を覚える手間と切替操作のコストが積み上がり、次第に使われなくなる。本事例のように「今日から使える」状態で提供できるかが、定着の分岐点になる。

対面業務が多い業種(整骨院・歯科・士業の面談記録・接客サービス等)にも同様の課題は存在する。「記録しながら対話する」二重負荷を解消したい場合、まず自社が日常的に使っているシステムにAI機能が追加されていないかを確認するところから始めると、導入・定着のハードルが最も低くなる。


出典: アトミックソフトウェア株式会社 プレスリリース「AI機能群「medicalforce intelligence」AI音声カルテにより、ひと月あたり最大36時間の業務時間を削減。さらに、2つのAI新機能リリースを発表」(2026年8月3日)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000119.000075856.html

株式会社デジタルゴリラ