大林組がBIM設計の社内問い合わせにAIエージェントを導入 — 年間約19,000時間の工数削減へ
目次
大林組とは — 建設業界のBIM活用と社内ナレッジ課題
株式会社大林組は、東京都港区に本社を置く大手建設会社だ。同社の設計部では約300名がBIMソフト「Revit」を使用しており、操作や設定に関する社内問い合わせの対応負荷が課題となっていた。
導入の背景と課題
設計部では月間約40件の問い合わせが発生し、1件あたり平均180分の対応工数がかかっていた。コンシェルジュ3名体制で月間120時間を費やしていたほか、初心者が質問をためらうことで設計部全体で月間平均1,500時間の試行錯誤が生じていた。ナレッジはExcelに簡素記録されるのみで、属人化が進んでいた。
大林組の設計部がAIエージェントで社内問い合わせを刷新
大林組の設計部は、スキルアップNeXtの支援を受けてMicrosoft Copilot Studioを活用した「コンシェルジュ型AIエージェント」を約1.5ヶ月で構築した。チャットボット形式で一次受付を行い、SharePointに問い合わせ履歴と評価を自動保存する仕組みだ。既存のMicrosoft 365基盤と連携させたことで、追加インフラなしに短期間で導入できた。回答精度は約80%に達している。
「社内でどれだけ『データを整えなければAIを十分に活用できない』と発信しても伝わりにくい部分がありましたが、今回構築したエージェントを通じて、データ構造化の重要性がメンバー間で腹落ちし、社内でのコミュニケーションが非常に取りやすくなりました。」
── 榊原氏(設計本部 設計ソリューション部 / 大林組)プレスリリース 2026年7月7日
成果(数字)
- コンシェルジュ対応業務:月120時間 → 月40時間(年間約1,000時間削減)
- 社員の自己解決時間:年間18,000時間の削減見込み
- 設計部全体:年間約19,000時間の工数削減見込み
- 手戻り件数:200件の削減見込み
※年間削減効果は、構築を支援したスキルアップNeXtがプレスリリースで公表した見込み値。達成済みの確定実績はコンシェルジュ対応時間(月120時間→月40時間)と回答精度(約80%)。
中小企業が学べるポイント — 「聞けない文化」のコストと低コスト導入の教訓
大林組のような大規模組織に見える事例だが、中小企業にも直接応用できる構造が3つある。
1. 既存ツールでゼロから始められる
今回の導入はMicrosoft 365のCopilot StudioとSharePointのみで完結した。新たなシステム投資は不要で、構築期間は約1.5ヶ月。Google WorkspaceやMicrosoft 365を既に使っている会社であれば、追加コストを最小化しながら同様の仕組みを構築できる。
2. 「聞けない文化」のコストを数字で把握する
大林組では、初心者が質問をためらうことで月間1,500時間の試行錯誤が生じていた。人数の多さではなく、「聞けない」という文化の問題だ。5〜10名の現場でも、担当者が聞きにくい空気があれば同じコストが積み上がっている。まず社内の問い合わせ件数と1件あたりの対応時間を計測するだけで、AI導入を検討する根拠が揃う。
3. ナレッジのExcel管理は限界の証拠
問い合わせ記録をExcelで管理していたことが属人化の温床になった。ChatbotやAIエージェントは、このナレッジをSharePointや社内Wikiに構造化して蓄積する入口にもなる。小規模な会社ほど、ナレッジ構造化の副次効果が大きい。
出典: スキルアップNeXt、大林組の「コンシェルジュ型AIエージェント」を構築し、設計部全体で年間約19,000時間の工数削減へ(株式会社スキルアップNeXt プレスリリース)(2026年7月7日)
