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東北電力がAI検索で問い合わせ対応をこう変えた — 入電量約20%削減

この記事の監修者 株式会社デジタルゴリラ

導入企業概要

東北電力株式会社は宮城県仙台市に本店を置く電力会社で、低圧の電力契約において600万口以上の顧客基盤を持つ。グループスローガン「より、そう、ちから。」のもと、電力小売全面自由化後の市場競争において顧客体験の向上に取り組んでいる。

導入の背景と課題

電力小売全面自由化から10年が経過し、異業種参入や価格競争が進むなか、問い合わせ対応の品質が企業選択の重要な要素となっている。東北電力では特に引越しが集中する3月に電話問い合わせが急増し、入電が集中する時間帯には電話がつながりにくくなる状況が発生していた。従来のFAQには検索機能がなく、顧客が必要な情報にたどり着けない状態だった。

導入したAI / プロセス

東北電力は2025年3月に自己解決AI「Helpfeel」(導入実績900サイト以上、2026年4月時点)を導入した。Helpfeelは「引越し」「電気を使いたい」「利用開始」など多様な検索表現の揺らぎに対応する「意図予測検索」技術を搭載しており、ユーザーの意図を予測して最適な回答を提示する。顧客が24時間365日、Webで自ら疑問を解決できる環境を整備した。さらに、数百ページにおよぶ紙のマニュアルや応対ログのデータ化を進め、AIが活用できるナレッジ基盤の構築にも着手している。

この取り組みについて、東北電力の熊谷貴大氏は次のように語っている。

「このナレッジ基盤の構築こそが、AI活用を成功へ導く最も重要な取り組みである」

── 熊谷貴大 東北電力株式会社 販売カンパニー リビング営業部(出典:東北電力 プレスリリース 2026年7月7日)

紙のマニュアルをデータ化する地道な作業が、AI活用の土台になるという指摘は示唆に富む。

成果(数字)

  • FAQ閲覧数:月間16万PVが定着(旧FAQ比で10倍以上に増加)
  • 電話問い合わせ数:前年比約20%減少
  • カスタマーセンターの応答率が大幅に改善
  • オーガニック流入:従来の32倍に拡大
  • 導入から10か月での実績

中小企業が学べるポイント

600万口以上の顧客基盤を持つ東北電力の事例だが、「検索できないFAQ」「電話が鳴りやまない」という課題は中小企業でも同じ構造で起きている。月に50件の問い合わせがある会社でも、FAQが整理されていなければ同じ人が同じ質問に繰り返し答えている状態になる。

この事例から中小企業が取り入れやすい施策は3つある。

  1. まず「よくある質問」をリスト化する — 東北電力は数百ページの紙マニュアルをデータ化するところから始めた。中小企業なら、過去3か月分の問い合わせメールや電話メモから「同じ質問トップ10」を洗い出すだけでもFAQの原型になる
  2. 検索できるFAQを用意する — Helpfeelのような高機能ツールでなくても、WordPressの検索プラグインやNotionの公開ページで簡易FAQは作れる。「検索窓がある」だけで、顧客が自分で答えにたどり着ける確率は大きく上がる
  3. AI導入の前にデータを整理する — 熊谷氏が「ナレッジ基盤の構築こそが最も重要」と述べている通り、AIを入れる前にまず情報を整理することが成功の前提条件になる。中小企業のAI導入でも、この順序は変わらない

出典: 東北電力株式会社「東北電力、Helpfeel導入でカスタマーセンター入電量を約20%削減 AIによるカスタマーセンター自動化に向け、ナレッジ構築を推進」(2026年7月7日)

株式会社デジタルゴリラ