都城市がAI型DAPでこう変わった — 稼働初月で全庁2,800時間の業務時間を削減
導入組織概要
宮崎県都城市は、人口約16万人の中核市。令和元年にデジタル化推進を宣言し、令和3年に池田宜永市長がCDO(最高デジタル責任者)に自ら就任。「都城AX推進宣言」のもと、AIを活用した行政DXを積極的に推進している自治体だ。
導入の背景と課題
財務会計システムの刷新と電子決裁への移行を進めるなかで、旧システムから続く入力ミスの問題が深刻だった。必須項目の入力漏れや日付誤りによって会計課からの差し戻しが頻発し、職員の負担を増やし続けていた。システムを個別改修すると費用・工数の負担が大きく、迅速な対応ができないという課題もあった。都城市が選んだ方針は「非効率をデジタル化しない」こと。業務プロセスそのものを見直しながら、UI補完ができるツールを探した。
導入したAI / プロセス
2026年に導入したのは、テックタッチ株式会社が提供するAI型デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)「テックタッチ」。財務会計システムの画面上に操作ガイドや入力注意事項をオーバーレイ表示し、職員がシステムを迷わず正確に使えるよう誘導する。特筆すべきはガイドの内製化の仕組みだ。ITの専門知識がなくても現場の職員自らがガイドを作成・修正でき、都城市は300本の操作ガイドと300個のツールチップを現場主導で実装した。
「ガイドの作り込みは現場を最もよく知る職員自身が担い、自分たちの知見でつくったからこそ、想像以上のスピードで定着したと実感しています。」
都城市 デジタル統括課(出典:テックタッチ株式会社 PR TIMES プレスリリース 2026年9月1日)
成果(数字)
・稼働初月の業務時間削減:全庁で約2,800時間
・業務改善(BPR):約30項目を実施
・入力漏れ・使い方問い合わせ:「ほぼゼロ」(旧システムで頻発していた差し戻しが消滅)
・操作ガイド:300本・ツールチップ:300個を内製実装
中小企業が参考にできる3つのポイント
都城市は人口16万人・全庁横断でBPRを進められる公的機関だが、この事例の本質は規模を問わず応用できる。
① 「システムを変えずにUIを補完する」という発想。基幹システムの改修には時間も予算もかかる。DAPは既存システムの上にガイドをかぶせる仕組みのため、改修コストをかけずに入力ミスや問い合わせを大幅に減らせる。社内システムの操作に迷いが多い企業にそのまま応用できる考え方だ。
② 現場が主体となるガイド内製の体制。外部ベンダーに依存せず、業務を最もよく知る現場担当者がガイドを作る。この体制がなければ300本の内製はあり得なかった。ITリソースが限られる中小企業こそ、「ベンダーに頼らず現場で回せる」ツール選定の視点が重要になる。
③ 「非効率をデジタル化しない」というDX原則。ツールを入れる前に業務プロセスを見直すこの方針は、デジタル化で失敗する企業が陥りがちな「無駄な業務をそのままデジタルに移す」ミスを防ぐ。ツール導入の前に「その業務は本当に必要か」を問う習慣が成果を左右する。
出典: テックタッチ株式会社「都城市、『テックタッチ』活用で初月2,800時間の業務時間を削減」(PR TIMES 2026年9月1日)
