JR西日本が生成AIによるAPI開発プロセス高度化でこう変わった — 修正・レビュー作業を大幅短縮
導入企業概要
西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)は、2府16県に約1,200駅の鉄道ネットワークを展開する。鉄道事業を中心に不動産、物販・飲食、ホテル等を手がけ、経済産業省「DX銘柄2026」に鉄道会社として唯一選定されている。
導入の背景と課題
JR西日本では2020年にAPI共通基盤を構築し、運行情報や遅延情報などのデータを社内外に提供してきた。しかし、APIの公開に必要な定義ファイルの作成やレビューには専門知識が求められ、習熟した担当者に作業が集中していた。複数ベンダーによる開発体制の中で確認や修正が繰り返され、APIの公開までに約1ヶ月を要するケースもあった。開発工数の増加とレビュー負荷の軽減が急務だった。
導入したAI / プロセス
TISI株式会社(TISインテックグループ)が提供する「高セキュリティAPI基盤サービス」上で、生成AIを活用したAPI定義作成支援ツールを導入した。このツールはAPI定義ファイルの作成、レビュー、修正の各工程を自動化する。2025年10月から12月にかけて実証(PoC)を実施し、JR西日本独自の仕様やルールに対応する調整を行った上で本番運用を開始している。
今回の取り組みの核は「特定の人に集中している専門的なチェック作業を、生成AIで平準化する」という構造にある。これは鉄道業界に限った話ではない。見積書や仕様書のダブルチェック、社内マニュアルの整合性確認など、ベテラン社員に依存しがちな文書レビュー業務を持つ企業であれば、同じ考え方を応用できる。3ヶ月のPoCで有効性を確認してから本番化に進んだステップも、予算規模を問わず「小さく試す」ための参考になる。
「今回の取り組みにより、API定義作成およびレビュー工程の効率化と品質平準化の可能性を確認することができました。生成AIが実際のシステム開発・運用現場で十分に活用できることも確認できており、今後はAPI活用領域にとどまらず、要件定義や設計レビュー、テスト工程などへの適用にも着手しています。」
甲斐康弘氏(技術理事 / 西日本旅客鉄道株式会社)(出典:TISI株式会社 プレスリリース 2026年9月28日)
成果(数字)
・コード誤り検出率: 87.5%(8ヶ所中7ヶ所をベテランエンジニアと同等の精度で検出)
・コード自動修正: 9ヶ所全ての修正課題に対応
・修正作業時間: 1〜2時間 → 約30分
・レビュー作業時間: 3時間以上 → 数分〜数十分
出典: TISI株式会社「TISI、生成AIでJR西日本のAPI開発プロセス高度化を支援し、鉄道・MaaS領域の業務効率化に寄与」(2026年9月28日)
