Hassabis氏がAI安全監視機関を提言 リリース前30日審査で企業のAI選定基準が変わる
Google DeepMindのCEOでノーベル賞受賞者のDemis Hassabis氏が2026年7月14日、個人マニフェストを公開し、米国政府が主導するAI安全監視機関の設立を提言した。高性能AIモデルのリリース前に最大30日間の安全性審査を求める内容で、企業がAIを選ぶ際の判断基準にも影響を及ぼす。
提言の骨子──FINRA型の官民連携監視機関
Hassabis氏が提案するのは、米国の金融規制機関FINRA(金融業規制機構)をモデルにした官民連携の監視機関だ。AI企業が資金を拠出し、チューリング賞受賞者などの独立した技術専門家、政府関係者、オープンソースコミュニティの代表者で構成される理事会が運営する。
具体的な仕組みは以下のとおり。
- 高性能AIモデルを開発する企業は、リリース前に最大30日間、モデルを監視機関に提出して安全性テストを受ける
- テスト項目はサイバー攻撃能力、生物・核リスクの識別能力、ガードレール回避、欺瞞行動の検出など
- 危険と判断された場合、参加企業間で開発速度の協調的減速を発動できる
- 当初は任意参加だが、テスト体制の有効性が証明された後に法的義務化を想定
- 対象はオープンソース・クローズド問わず、国内外すべての高性能AIモデル
“We’ve essentially found a way to make sand think. It’s miraculous.”
(筆者意訳:私たちは砂を思考させる方法を見つけた。それは奇跡的なことだ)
── Demis Hassabis「A Framework for Frontier AI and the Dawning of a New Age」
中小企業のAI導入判断への影響
この提言が実現した場合、企業がAIツールを選定する際の基準が変わる可能性がある。
監視機関の安全性テストを通過したモデルは、第三者による検証済みの状態で市場に出回ることになる。導入企業にとっては、自社でセキュリティリスクをゼロから評価する負担が軽減される。
一方で、30日間の審査プロセスが加わることで、新モデルの提供開始が遅れる可能性もある。スタートアップや中小規模のAI企業にとっては審査コストの負担増も指摘されており、結果的に大手ベンダーへの集中が加速する懸念がある。
Hassabis氏はAGI(汎用人工知能)の実現が「数年以内」と予測しており、サイバーセキュリティへの脅威はすでに顕在化していると指摘した。
出典: Demis Hassabis「A Framework for Frontier AI and the Dawning of a New Age」(2026年7月14日) / WinBuzzer(2026年7月15日)
