アンティルがAI活用率98%を達成 — 自社開発「PRai」と AIエージェントで残業約25%の減少傾向
導入企業概要
株式会社アンティルは、東京都港区に本社を構えるPR・広報コンサルティング会社。東証プライム上場のベクトルグループに属し、従業員約150名でPR企画立案・実施、ブランディング、リスクマネジメントなどを手がける。2004年設立。
導入の背景と課題
広報業界では生成AIの導入が急速に進んでいる。日本広報学会の調査によると広報部門の生成AI導入率は77.0%に達した(前年37.2%から1年で倍増。アンティル社プレスリリース引用)。こうした環境変化のなか、アンティルはAIを「個人の生産性向上ツール」にとどめず、組織全体の業務構造を再設計するための基盤として位置づけた。
課題は「導入して終わり」にしないことだった。ツールを配布しても一部社員しか使わなければ組織的な効果は限定的になる。全社員が日常業務でAIを使う状態をどう作るかが最大のテーマとなった。
導入したAI / プロセス
アンティルは3つのAIツールを自社開発・導入した。
- PRai(プレイ): プレスリリース作成を支援するAIツール。ドラフト作成を自動化し、PR担当者は企画・戦略の検討に集中できる
- AIエージェント: 社内の定型業務(データ整理・報告書作成など)を自動処理する仕組み
- AIクリッピング: メディア露出を自動収集・分類するツール。従来手作業だった記事チェックを自動化
3つのツールを業務の種類ごとに分けて導入したことがポイントだ。「1つの万能AIを入れる」のではなく、業務プロセスに合わせてAIを配置することで、全社員が毎日使う状態を実現した。
「当社が目指すのは、クライアントからの発注をなくすことではありません。発注の中身を変えていただくこと」
(出典:株式会社アンティル プレスリリース 2026年6月17日)
成果(数字)
- 社内AI活用率:98%(生成AIや自社開発AIエージェントを毎日1回以上使用する社員の割合。約150名のほぼ全員がAIを日常業務に組み込んでいる計算になる)
- 自社開発AIエージェント月間実行回数:1,300回
- 残業時間:約25%の減少傾向
中小企業が学べるポイント
アンティルはPR・広報の専門会社だが、この事例の本質は業種を問わず応用できる。
「全員が毎日使う」仕組みの作り方が参考になる。 AI導入で成果が出ない最大の原因は「一部の社員しか使わない」ことだ。アンティルが活用率98%を達成した背景には、業務プロセスごとにAIツールを分けて「このタスクはこのツールで」と明確に定めた運用設計がある。
中小企業でも同じ考え方が使える。たとえば「見積書の下書きはChatGPTで」「日報の要約はAI議事録ツールで」「問い合わせメールの分類はGmailのAI機能で」と、業務ごとにAIの使いどころを1つずつ決めていくことで、全員が使う状態に近づけられる。
大事なのは「AIですべてを変える」ではなく「まず1つの定型業務をAIに任せ、浮いた時間を判断業務に回す」という順番だ。
出典: 株式会社アンティル「社内AI活用率98%のアンティル『PR-DXコンサルティング』を本格始動」(2026年6月17日)
