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企業事例

パナソニック オートモーティブシステムズが品質保証領域でAIデータ基盤を導入 — 類似事象の特定が1週間以上から数分へ

この記事の監修者 菊池 習平

デジタルゴリラ代表。「まっすぐ誠実に、情熱を持って、大いに楽しみ楽しませる」を信条に、マーケティング・AI組織変革・ビジネスプロデュースを牽引する。

導入企業概要

パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社は、神奈川県横浜市に本社を置き、車載コックピットシステム及び関連デバイスなどを中心に事業展開する自動車部品メーカーです。SDV(ソフトウェア定義型自動車)シフトや電動化・自動運転技術の進展に対応すべく、品質保証体制の強化を推進しています。

導入の背景と課題

SDVシフトによって車両のソフトウェア比率が急増し、品質保証の現場では過去のトラブル情報を横断的に活用する体制づくりが急務となっています。パナソニック オートモーティブシステムズでは、過去の不具合情報や解析レポートが部門・拠点ごとに分散管理されており、類似事象の特定に長時間を要することが長年の課題でした。加えて、ベテラン担当者の解析知見が個人依存となり、異動や退職のたびに組織の技術力が損なわれるリスクも抱えていました。

こうした課題は自動車業界に限った話ではありません。製造業全般において、過去のトラブル情報の散在や属人的な知見管理は共通の壁です。中小の製造企業においても、「あの担当者しか知らない」という状況を解消するためにAIデータ基盤の活用を検討する価値があります。

導入したAI / プロセス

2026年7月より、キャディ株式会社(2017年設立・累計資金調達額257.3億円)が提供する製造業AIデータプラットフォーム「CADDi」の導入が開始されました。CADDiは、複数拠点に散在する不具合報告書・解析レポートといった非構造化データをAIで構造化し、エンジニアリングチェーン・サプライチェーン全体のデータを一元集約・関連付けするプラットフォームです。

まず品質保証部門での成果創出を起点とし、今後は設計・製造・生産技術部門への展開、さらには海外拠点を含むグローバル全社展開を目指す段階的なロールアウト計画が描かれています。

「品質保証の現場では、必要な情報の探索に多くの時間を要することが長年の課題でした。CADDiの導入により、過去の知見への容易なアクセスが期待できると考えております。」
── 芝康介(パナソニック オートモーティブシステムズ JPオペレーション本部 品質保証センター 品質技術部)

(出典:パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社 プレスリリース 2026年7月16日)

成果(数字)

  • 類似事象の特定時間:1週間以上 → 数分へ短縮
  • OEM向け解析レポート作成の対応工数:約50%削減

中小製造業が学べるポイント

「属人化×AI解消」の構造を10名規模の町工場に翻訳する

パナソニック オートモーティブシステムズが取り組んだ課題の核心は、「不具合情報が人の頭の中と個別フォルダに分散している」という構造です。これは設備投資額や従業員規模に関係なく、製造業であれば10名の町工場でも同じ状況が起きています。

解消のステップは、段階的に踏める。

まず始められるのは、情報を「一か所に集める」という工程だけです。高度なAIシステムを導入する前に、不具合報告をExcelやGoogleスプレッドシートに集約するだけでも、「あの件どこに書いてあったっけ」という探索時間は大幅に短縮されます。

  • 第1ステップ(今日からできる): 不具合報告・対応履歴をExcel/スプシの1ファイルに集約する。担当者名・発生日・現象・原因・対策を列ごとに記録するだけでよい
  • 第2ステップ(3〜6か月後): 蓄積データをもとに「よく起きる不具合パターン」を分類し、新入りでも参照できる社内マニュアルに変換する
  • 第3ステップ(1年後以降): データ量が増えてきたタイミングで、CADDiのようなAIプラットフォームの導入効果を試算する

大企業がやっていることの本質は「データを一か所に集めてAIで検索可能にすること」です。第1ステップはスプシ1枚で始められます。ベテランの知見が「個人の記憶」から「組織の資産」に変わる瞬間は、スプシ1行目のデータを書いた時から始まっています。


出典: キャディ株式会社「キャディ、パナソニック オートモーティブシステムズの品質保証領域に製造業AIデータプラットフォームCADDiを提供開始」(2026年7月16日)

菊池 習平

デジタルゴリラ代表。「まっすぐ誠実に、情熱を持って、大いに楽しみ楽しませる」を信条に、マーケティング・AI組織変革・ビジネスプロデュースを牽引する。