Microsoft、Excel・OutlookなどでOpenAI・Anthropicに代わる自社AIモデル「MAI」の導入を開始
MicrosoftがExcel・Outlook・GitHub Copilot等の自社製品で、独自開発のAIモデル「MAI」への切り替えを進めている。OpenAI・Anthropicへの依存を段階的に削減し、コスト構造を改善する狙いがある。
発表の概要
MicrosoftはAI部門責任者Mustafa Suleyman氏のもとで自社AIモデル「MAI」シリーズの開発を加速し、Excel・Outlook・Teams・GitHub Copilot・Bing・PowerPoint等の主力製品への展開を進めている。音声認識モデル「MAI-Transcribe-1」をTeamsとCopilotでテスト中のほか、画像生成モデル「MAI-Image-2」はBingとPowerPointへの展開がすでに完了した。
2026年6月のBuildカンファレンスでは新AIモデル7つを発表。うち1つはAnthropicのコーディング向けモデルと同等の性能を持ちながら低コストで動作するとされている。McKinsey向けにチューニングされたMAIモデルはGPT-5.5比で10倍のコスト効率を達成したと報告されており、コスト削減が今回の切り替えの主目的であることが明確だ。
ただし完全移行ではなく、OpenAIとの技術ライセンス契約は2032年まで維持される。OpenAIとAnthropicは現時点でも依然としてCopilotトラフィックの大半を処理しており、MAIは段階的に置き換えを進める位置づけだ。
“We pay a lot of money to Anthropic — so our goal is to reduce and ultimately eliminate”
(筆者意訳:「Anthropicにはかなりの費用を支払っている。だから私たちの目標はその支出を削減し、最終的にはゼロにすることだ」)
── Mustafa Suleyman・Microsoft AI部門責任者(Bloombergによる報道)
Microsoft 365ユーザーである中小企業への影響
ExcelやOutlook・Teamsを日常業務で使っている中小企業にとって、当面の操作感に大きな変化は生じないと見られる。MAIへの切り替えはバックエンドで段階的に進むものであり、ユーザーインターフェイスへの影響は限定的だ。
一方で、AIアシスト機能(Copilotの提案・要約・音声変換など)の品質や挙動が今後変わる可能性はある。自社の業務フローにCopilot機能を組み込んでいる場合は、アップデートによる仕様変更に注意が必要だ。Microsoft主導でAIのコストと品質をコントロールする体制が整うにつれ、機能アップデートのサイクルが変わる可能性もある。
CEO Satya Nadella氏が「次のIBMにはならない」と表明していることからも、Microsoftが外部依存の削減を長期戦略として位置づけていることは明らかだ。利用企業側も、使っているツールがどのAIを軸に動いているかを把握しながら、変化に備えた運用設計を意識しておくとよいだろう。
出典: Bloomberg「Microsoft Replaces OpenAI, Anthropic With Own AI in Some Apps」(2026年7月7日)/ The Next Web「Microsoft’s MAI models are replacing OpenAI in its apps」(2026年7月)
