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不動産会社の顧客管理ツール8選|基本機能からLINE連携もガイド
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2024年11月11日
不動産業界におけるデジタル化の波は、顧客管理の在り方も大きく変えています。
従来のチラシやポータルサイトからの問い合わせ対応だけでなく、LINE公式アカウントの活用やCRMシステムの導入により、より効率的で戦略的な顧客管理が可能になってきました。
本記事では、不動産CRMシステムの基本的な機能から、賃貸・売買それぞれの業態に適した具体的なツールまで、実務に即した情報をご紹介します。
Excelによる無料かつシンプルなデータ管理から、最新のクラウド型CRMシステムまで、各ツールのメリット・デメリットを詳しく解説していきましょう。
目次
不動産会社向け顧客管理システム(CRM)とは?
不動産業界向けの顧客関係管理(CRM)システムとは、不動産業界特有の業務プロセスに対応した専門的なツールです。
CRMはCustomer Relationship Managementの略で、日本語では「顧客関係管理」を意味します。
顧客データの収集から分析までを一元管理することで、個々の顧客属性や行動履歴を詳細に把握し、営業効率を高める役割を担っています。
不動産CRMシステムを導入する主な目的は、成約率の向上と顧客満足度を最大化すること。
従来、不動産業界はチラシやマスメディア広告による集客が主流でしたが、近年はデジタルデジタルマーケティングの普及に伴い販売戦略が変化しています。
多様化する集客チャネルからの情報を統合し、効果的な営業活動を実現することが求められているのです。
不動産CRMシステムの主な機能
システムにより異なりますが、不動産CRMは主に以下のような機能を備えています。
機能名 | 概要 | メリット |
---|---|---|
ポータル連携 | SUUMOやHOME’Sなどの不動産ポータルサイトからの問い合わせを自動取得 |
顧客情報の即時反映と重複排除 →迅速な初期対応 |
履歴管理 | 商談記録や対応状況を時系列で記録 | 追客漏れ防止と適切なフォロー |
メール配信 | 顧客状況に応じた、最適なタイミングでの自動メール送信 | 効率的な情報提供と販促活動 |
SNS連携 | LINEなどと連携し、物件情報の配信や双方向のコミュニケーション | 顧客との密接な関係構築 |
LINE公式アカウントでできる3つの顧客管理(CRM)
マーケティング施策として、公式LINEを導入されている不動産会社も多いのではないでしょうか。
LINE公式アカウントはメッセージの配信だけでなく、顧客管理の機能も持ち合わせています。
1.チャット機能で顧客情報を一元管理
画像と一緒に、LINE公式アカウントの顧客管理機能を確認していきましょう。
①顧客名
フルネームなど、わかりやすい名前に編集することができます。
②ステータス
メッセージに対応したかどうかや、対応の緊急度などを分類することができます。
③タグ
顧客をセグメント分けすることができます。
「資料請求」「店舗来店」といった状況や、顧客の居住エリアを分類することも効率化につながるでしょう。
④担当者
複数名で運用する際、営業担当者を振り分けることもできます。
⑤ノート
対応内容などを簡潔にメモしておくことも可能です。
LINEのアプリ上で顧客管理を行うことにより、やり取りの状況をひと目で把握することができるでしょう。
2.セグメント配信による効果的なコミュニケーション
顧客属性に基づき、一人ひとりに適切な情報を提供できることも、LINE公式アカウントで顧客管理を行うメリットの一つです。
新規顧客にはウェルカムメッセージを、既存顧客には新商品の情報やクーポン情報を発信するなど、段階的なアプローチが可能になります。
3.データ分析による戦略的な意思決定
LINE公式アカウントには以下のような分析機能があり、マーケティング施策の効果測定ができます。
- メッセージの開封状況分析
- メッセージに記載した、リンクのクリック率測定
- ショップカードやクーポンなど、販促ツールの利用状況確認
これらのデータから顧客の心情を分析し、次の施策を練っていきましょう。
不動産業界で、LINEマーケティングを効果的に行うコツについては以下の記事で詳しく解説しています。
>> 不動産のLINEマーケティング実践法!成功事例から学ぶ4つの戦略
エクセルを使って不動産の顧客管理表は作れる?
次に、エクセル(Excel)を活用した顧客管理システムについて解説いたします。
「たくさんのシステムを導入するより、使い慣れたソフトで業務を行いたい」「各社から販売されているシステムが便利なのはわかっているけど、できれば予算をかけず無料で顧客管理を行いたい…」という方もいらっしゃるでしょう。
結論からお伝えすると、Excelで不動産会社の顧客管理表を作ることは可能です。
メリットとデメリットを解説しますので、Excelで不動産会社の顧客管理を行いたいと検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
無料で顧客管理!Excelを活用するメリット
不動産会社の顧客管理にExcelを活用するには、このようなメリットがあります。
1.コストパフォーマンスが高い
まず、ExcelはMicrosoft Office製品の一部ですので、Officeを契約していれば追加費用をかけずに利用できます。
そのコストパフォーマンスの高さがメリットと言えます。
2.スタッフの導入研修が不要
Excelは通常の業務処理にも使用している企業が多いかと思いますので、専門的な知識がなくてもすぐに活用できることもメリットです。
「新しくソフトを覚えるのが苦手」というスタッフにも、安心して業務にあたってもらえるでしょう。
3.汎用性が高い
Excelであれば、各企業の業務フローに合わせて独自のフォーマット作成が可能です。
外部システムとのデータ連携もしやすい汎用性の高さがメリットと言えます。
予算の制約などにより、Excelで顧客管理表を作りたいという場合には、Microsoft公式が発行しているエクセル用テンプレートを利用してみましょう。
Microsoft公式:Office テンプレート「顧客管理表」
Excelを活用した顧客管理表を導入するデメリット
一方で、Excelで顧客管理を行うにはデメリットも存在します。
1.顧客データが溜まるほど、ファイルサイズが重くなる
Excelは、データ量が増えるほどファイルサイズが重くなる特徴があります。
顧客数が増えるとファイルを開くのに時間がかかり、処理速度が低下してしまうことはデメリットと言えます。
不要なデータを削除するなどの対策を講じましょう。
2.情報共有が難しい
Excelは複数ユーザーで同時編集を行うことには不向きです。
更新の順番待ちが発生したり、最新ファイルを見つけることが困難になったりと、非効率な面もあります。
3.セキュリティ面のリスク
Excelはデータの暗号化が不十分で、アクセス制御機能にも限界があるため、個人情報保護の観点から課題の多いツールでもあります。
特に個人情報が漏洩してしまうようなことがあれば、企業としての信頼も失いかねません。
ここまで、不動産業界の顧客管理にExcelを活用するメリットとデメリットについて考察してきました。
導入コストと操作性では優位性がありますが、情報セキュリティと業務効率の観点から、大規模な顧客管理には不向きなツールと言えます。
特に個人情報の取り扱いにおいては、より堅牢なシステムの採用を検討する必要があるでしょう。
【賃貸仲介】不動産会社向け顧客管理ツール(CRM)のおすすめ4選
それでは、不動産会社向けの顧客管理ツールのおすすめについて、取り扱う商材別に解説いたします。
顧客管理ツールの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
まずは賃貸仲介業を営む不動産会社向けのおすすめツールを一覧表にまとめました。
ツール名 | 主な特徴 | 料金形態 |
---|---|---|
nomad cloud |
・複数ポータル自動連携 ・スマホアプリ即時通知 ・自動空室確認システム |
初期費用:要問合せ 月額費用:要問合せ |
顧客管理CRM |
・LIFULL HOME’Sとの完全連携 ・メール反響対応の自動化 ・追客メール最適化機能 |
初期費用:要問合せ 月額費用:要問合せ |
Taski |
・物件情報自動配信 ・媒体別成果分析 ・オンライン重説作成 |
初期費用:55,000円〜 月額費用:22,000円〜 |
カナリークラウド |
・マルチチャネル一元管理 ・カスタマイズ可能な追客機能 ・営業活動の可視化分析 |
初期費用:要問合せ 月額費用:要問合せ |
それぞれ、詳しく解説していきましょう。
1.nomad cloud
最初にご紹介するのは「nomad cloud」。
「追客に特化した顧客管理システム」と謳っている通り、物件問い合わせ時の自動振り分け機能や顧客行動履歴の詳細なログ分析など、追客の効率化によって売上アップに貢献するシステムです。
2.顧客管理CRM
2番目にご紹介するのは、「顧客管理CRM」。不動産ポータルサイト「HOME’S」を運営するLIFULLが手掛ける、ポータルサイト運営のノウハウを活用した高機能システムと言えます。
メール反響への即時対応によって、来店率向上を実現する賃貸不動産会社専門の顧客管理システム。
業界特化型の顧客管理テンプレートを標準搭載しています。
3.Taski
出典:Taski 公式サイト
3つ目にご紹介する「Taski」は、契約業務の効率化を重視したオールインワンシステムです。
新着物件の自動マッチング配信、広告効果測定のための詳細な分析機能、契約書類の電子化対応、複数店舗の一括管理機能などを兼ね備えています。
月額22,000円〜とリーズナブルに導入できることも魅力の一つと言えるでしょう。
4.カナリークラウド
4番目にご紹介するのは、メール・電話・LINEなど顧客とのコミュニケーションをひと画面で管理できる、「カナリークラウド」。
顧客の状況に合わせて次のアクションをカスタマイズする自動追客機能が搭載されており、営業活動を最適化する顧客管理システムです。
【住宅販売・売買仲介】不動産会社向け顧客管理システム(CRM)のおすすめ4選
次に、住宅販売・売買仲介を営む会社におすすめしたい顧客管理システムを4つご紹介します。
ツール名 | 主な特徴 | 料金形態 |
---|---|---|
Digima |
営業担当自動割当 顧客グループ化 業界特化テンプレート |
初期費用:要問合せ 月額費用:50,000円〜 |
売買革命 |
広告効果測定 自動物件配信 マイページ機能 |
初期費用:385,000円/ライセンス 月額費用:6,600円/ライセンス |
PropoCloud |
独自物件DB構築 自動新着配信 顧客反応分析 |
初期費用:要問合せ 月額費用:要問合せ |
KASIKA |
WEB行動分析 メルマガ自動生成 リアルタイム通知 |
初期費用:70,000円 月額費用:60,000円 |
それぞれ、詳しく解説していきます。
1.Digima
出典:Digima 公式サイト
最初にご紹介するのは「Digima」。営業活動の効率化と標準化を支援するシステムです。
担当者の自動割り当てや顧客ステータスの自動分類機能、営業進捗の可視化ダッシュボードなど、営業活動においてアナログになりがちな部分を自動化し、売上アップに貢献することを得意としています。
2.売買革命
出典:売買革命 公式サイト
2番目にご紹介する「売買革命」は、広告の効果測定と顧客フォローの自動化を実現するシステムとして開発されました。
広告媒体別のROI分析機能、顧客の条件にマッチした物件の自動抽出配信などの機能を備えています。
3.PropoCloud
3つ目にご紹介するのは、独自のデータベース構築を得意とする「PropoCloud」。
顧客反応スコアリングシステムや、優先度に基づく顧客管理機能など、顧客情報をデータベース化することで業績アップをサポートするツールです。
4.KASIKA
出典:KASIKA 公式サイト
4つ目にご紹介する「KASIKA」は、その名の通り、顧客行動の可視化に重点を置いたシステムです。
サイト閲覧履歴からユーザーの興味度を自動判定する機能、顧客アクションのリアルタイム通知、コンテンツの自動メルマガ化機能などを備えています。
まとめ
不動産業界向けのCRMシステムは、デジタルマーケティングの潮流とともに急速に進化しています。
賃貸仲介業向けでは、LIFULL HOME’S連携の「顧客管理CRM」やマルチチャネル管理の「カナリークラウド」など、業務効率化と顧客対応の質向上を重視したシステムが主流です。
一方、売買仲介業向けには、「KASIKA」や「PropoCloud」のように、顧客行動分析や独自データベースを活用した戦略的アプローチを可能にするツールが揃っています。
従来のExcelによる管理と比較すると、初期費用は必要となりますが、情報セキュリティの向上や業務効率化による長期的なメリットが期待できます。
また、LINE公式アカウントとの連携など、顧客とのコミュニケーション手段も多様化しており、各社の規模や業態に応じた最適なシステムを選択することが重要と言えるでしょう。