NECが部品調達の取引先交渉をAIエージェントで自動化 — 実証実験で1件あたり約80秒・自動合意達成率95%
導入企業概要
日本電気株式会社(NEC)は、自社が開発した自動交渉AIを活用し、NECグループ会社の調達業務における納期・数量交渉を自動化する「NEC 調達交渉AIエージェントサービス」を導入した。今回公表された成果は、2024年9月〜10月にNECグループ会社で行われた実証実験で得られたもので、サービス自体は2026年4月から運用が始まっている。
導入の背景と課題
部品調達の現場では、取引先との納期・数量の調整が担当者の手作業で行われてきた。
電話やメールで条件をすり合わせ、合意に至るまで従来は数時間から数日を要することもあった。交渉の進め方は担当者の経験や判断に左右されやすく、属人化しやすい。需要が変動したときに、調整が追いつかないという悩みもつきまとう。
つまり「交渉に膨大な時間がかかる」「やり方が人に依存する」という2つの課題が、調達業務には根深く残っていた。
導入したAI / プロセス
NECが導入したのは、自動交渉AIを中核にした「NEC 調達交渉AIエージェントサービス」。購買側の担当者が逐一介在しなくても、AIが取引先のシステムと自律的にやり取りし、双方にとって最適な条件での合意を目指す仕組みだ。
2024年9月〜10月の実証実験では、NECグループ会社の約1,300品目の部品調達にこの仕組みを適用し、納期・数量調整の自動化に取り組んだ。
「従来は調達担当者が実施していた業務をAIが行うことで、取引に係る交渉に費やされる膨大な時間を削減し(中略)業務効率の大幅な向上に貢献します。」
(出典:日本電気株式会社 プレスリリース 2026年5月26日)
成果(数字)
2024年9月〜10月にNECグループ会社で実施した実証実験では、約1,300品目の部品調達を対象に次の結果が報告されている。
- 取引先との納期・数量調整:約1,300品目で自動化に成功
- 自動合意達成率(担当者が介在せずAIのみで合意した割合):95%に到達
- 1件あたりの調整時間:従来の数時間〜数日 → 約80秒
この事例から読み取れること(筆者の考察)
ここからはNECや導入先の公表実績ではなく、本記事における筆者の考察である。
この事例の核は、人が時間をかけて行っていた「条件のすり合わせ」を、ルール化してAIエージェントに任せた点にある。同じ構造は、製造業の部品調達に限らず、定型的な条件交渉や日程・数量の調整を繰り返す業務にも当てはまる。たとえば仕入れ先との発注調整や、外注先とのスケジュール確定などだ。
着手するなら、まずは交渉業務を1〜2週間記録し、繰り返し発生する条件パターンを書き出すところから始めるとよい。どの交渉が一番時間を奪っているかが見えれば、ルール化して任せられる部分の見当もつく。そこが応用の糸口になる。
出典: 日本電気株式会社「NEC、自動交渉AIを活用し、NECグループ会社の調達業務における納期・数量交渉を自動化するサービスを導入」(PR TIMES, 2026年5月26日)
